大手プログラミングスクールとして有名なテックキャンプですが、一部のエンジニア界隈からは、あまり良くない印象に感じられていることとがあります。
僕は実際にテックキャンプのエンジニア転職コースに、仕事を辞めて3ヶ月間みっちり通った経験があります。
結果として、テックキャンプに通って良かったと思っていますが、これから受講を検討している人には、少し立ち止まって欲しい気持ちもあります。
テックキャンプの評判や口コミについて、卒業生の視点も交えながら、テックキャンプの真実を伝えられればと思います。
TECH CAMP(テックキャンプ)の評判について
テックキャンプの評判についてネットで検索すると、ネガティブな情報が引っかかります。
僕は実際にテックキャンプを3ヶ月間受講しましたが、こういった情報の50%合っているものの、50%は間違っているといえます。
テックキャンプの評判は悪い?
テックキャンプに関するネガティブな評判が広がったのは、メルカリのクローンサイトをポートフォリオにした就活生が急増したことがきっかけです。
テックキャンプでは最終課題のカリキュラムとして、メルカリのクローンサイトを作成します。
しかし、それをポートフォリオとして掲げ就職活動をする卒業生が多く、企業の採用担当からは、スクールの卒業課題をポートフォリオに就職活動している、ということに悪い印象を与えてしまっていました。
もちろん、僕が受講していた時の同期は、最終課題をポートフォリオにせず、自分で独自のアプリを開発して就職活動をしていたので、全員がメルカリのクローンサイトをポートフォリオにしているわけではありません。
しかし、稀に個人アプリの開発が進まない人がいたり、過去の制作物やチーム開発実績としてメルカリのクローンサイトに触れることは多いため、テックキャンプ卒業生=メルカリクローンサイトという印象がついてもおかしくはない状況でした。
メルカリのクローンサイトに対する公式の見解
この問題に対して、テックキャンプの公式がYouTube動画として見解を述べています。
- すべての人が質の高いポートフォリオを作ることは難しい
- 身につくスキルが限定的になりやすい
この動画を視聴したところ「確かにそうだよな」といった理由が述べられていました。
全ての人が質の高いポートフォリオを作れない
例えば、プログラミングを学習して2ヶ月ほどの人に、ポートフォリオを好き勝手に作っていいよ、といったらどうなるでしょうか。
人によって扱う言語やフレームワーク、実装機能や、扱うツール、デザインなど、あらゆる結果が考えられます。
しかし、そうなると質が置き去りにされ、人によって習得する言語や技術に差が出てしまうことも問題です。
そのためテックキャンプでは、最終課題にわざと条件を設けることにより、誰もが同じレベルの技術を身につけられることに力を入れています。
また、同じ課題をチームメンバーで取り組むことにより、同じ土俵でものを考えたり、相談してスキルアップしやすいといったメリットもあります。
また、最終課題としてメルカリのクローンサイトを作成することになっていますが、就職活動のポートフォリオとしては個人アプリを開発するように推奨されています。
そのため、最終課題として学習の基礎はメルカリのクローンサイトで学習し、それをもとに自分でサービスを考えて個人アプリを開発するという流れになっています。
身につくスキルが限定的になりやすい
テックキャンプの転職コースで学習できるスキルはこちら(一部抜粋)
- HTML/CSS
- Ruby
- JavaScript
- MySQL
- AWS
- Git
実際の現場では、これ以外のプログラミング言語を扱う必要があったりしますが、テックキャンプでは学習するスキルをあえて絞っています。
それは、先ほどのポートフォリオと同じく、学習するスキルや質を誰もが担保できるようにするためですね。
実際に僕もテックキャンプを受講しましたが、実務レベルで使うスキルとしては不十分なものの、プログラミングを理解する基礎としては十分に網羅できていると実感しました。
サービス開発に必要な基礎知識は体系的に学べるため、まずはこれらのスキルを習得した後に、自分で必要なスキルを習得していくのが一般的かなと思います。
メンターの質が悪い
テックキャンプのメンターは必ずしも現役のエンジニアではありません。
エンジニアとして実務経験のない人でもメンターを勤めているケースがあります。
この問題に対してのテックキャンプ公式の見解はこちら。
- 教えるために必要な知識
- わかりやすく教える技術
- 受講生が快適に学ぶための接客力
要するに、質の高いサービスを提供できれば現役エンジニアでなくとも問題はない、といったような内容です。
これに対しては、僕も賛成ですね。
ツイート内容のように、質問した内容に的確な答えが返ってこないのはサービスとして改善が必要ですが、メンターには知識の他にも、教え方や接客技術も重要だったりしますよね。
また、実務経験のないメンターは受講2週間目までの基礎カリキュラムに対応していることが多く、応用カリキュラムや最終課題になると、質問の内容も高度になるため、実務経験のあるメンターが対応してくれることが多かったですね。
メンターの数が足りない
メンターの質に関しては、ある程度は担保できている気がしますが、それよりも問題だと感じたのがメンターの数です。
応用カリキュラムになると内容も高度になるため、質問の数も必然的に増えてきます。
そういった時に、メンターの数が足りず、1つの質問をするのに30分も待たなければいけないことが何度かありました。
こちらに関しては、僕が受講していた時から改善されていないのか、今でも時折耳にしますね。
個人的には、メンターが素人かエンジニアかどうかよりも、質問が集中する時間帯にメンターの数を増やすことに力を入れて欲しいなと思います。
簡単にエンジニア転職できると騙している?
テックキャンプは未経験からでも最短10週間でエンジニアに転職できるサービスですが、誰でも簡単にエンジニアになれると騙しているのではないか、という点についてです。
これについて公式の見解として、「私たちはエンジニアに簡単になれる」とはサイトや広告でも伝えていません、と動画内で伝えています。
しかし、簡単にエンジニアになれる旨は伝えていないものの、未経験から最短10週間でエンジニアになれる点をアピールしていたり、ホリエモンとの対談動画で「プログラミングは簡単」と発言されていることを踏まえると、誤解を与えかねない部分もあります。
実際に、未経験からエンジニアを目指す場合は、30社から100社以上応募するケースも珍しくありません。
僕自身も、テックキャンプを卒業してから次の企業に内定するまで3ヶ月ほどかかり、元ツイートのように、やる気を削いでしまうことがありました。
また、前提として3ヶ月のプログラミング学習に耐えれるか、という問題もあります。
しかし、どんな勉強や仕事においても、楽して習得できることはほぼあり得ません。何かしらの苦労はつきものです。
テックキャンプは積極的に広告を打っていたり、マコなり社長のSNSでの影響力が強いため、幅広い層の見込み客にテックキャンプの存在をアプローチできている状況です。
そのため、プログラミングやエンジニア転職を甘く見ているような人が受講するようになってしまうのも仕方ないことです。
内定先はSESが多いのか
テックキャンプ卒業生の就職実績として、定期的に実績データが公開されています。
引用:サービスの改善レポート(2020年10月-12月) | テックキャンプ
しかし、この実績データに関して疑問が浮かび上がっています。
こちらのツイートは2019年5月31日のデータをもとにしているので、最新のデータとは内訳が変化しているものの、自社サービス開発への就職率が良すぎることを疑問にしていました。
卒業生の僕としては、周りの同期の話を聞く限り、自社開発に就職するのはかなり厳しい状態で、多くの人がSESを検討していました。
最新のデータでもSESは23%となっていますが、このような状況下でSESに入らざるを得ないような人は、もう少し多いのでは、と思いますね。
あくまで僕個人の体感値として、SESが多いイメージですが、実際の統計をとるとしっかり自社開発や受託開発の企業に内定をもらえている可能性もあります。
なお、こういった評判に対する見解をテックキャンプ公式YouTubeチャンネルで述べているので、気になる人は1度見てみると運営側の観点からの理解が深まります。
TECH CAMP(テックキャンプ)の口コミについて
評判を調べると悪い内容しかヒットしませんが、良い評判よりも悪い評判の方が広がりやすいのが世の中です。
確かに、僕もテックキャンプに通ったので、世間で言われている悪評も理解できますが、テックキャンプに通ってよかったと思えたこともたくさんあります。
テックキャンプの同期の存在は大きかったですね。
プログラミングを勉強していると、1人じゃ行き詰まることがあるのですが、そういったときに同期と相談しあったり励ましあったりすると助けられます。
挫折しない環境というよりも、助け合いながらサポートしあえる環境があると言ったほうが適切ですね。
ツイートにもある通り、受講料は決して安くないものの、環境の面ではしっかり整っていると僕も感じました。
また、新しい人生を切り開こうと前向きで意識の高い人が多いので、ただ単にプログラミングを学習するだけでなく、自分自身の成長のきっかけとなる場であることも間違いありません。
テックキャンプでは毎朝に瞑想の時間と、インプットやアウトプットの時間が設けられています。
そして、メンターに質問する際には、自身のわからないところを整理するクセを付けさせられます。
そういった学習を通して、テックキャンプでは単なるプログラミング学習以上の経験を得ることができますね。
テックキャンプに通ってみた感想
最近ではプログラミングスクールの数も増え、どこに通えばいいのか、どんな言語を学習するべきなのか迷ってしまいがちです。
そういった際に、何を基準にしてプログラミングスクールを選ぶのかがポイントになります。
- 言語で選ぶ
- 料金で選ぶ
- 評判で選ぶ
- 就職実績で選ぶ
などなど、多くの選択肢が有りますが、多少は高いお金を払ってでも、最高の学習環境で自分の人生を変えたい、と思う人にテックキャンプはおすすめです。
逆に、特定の言語やプログラミングを学びたい、安くエンジニアに転職したい、といった人には向いていないスクールですね。
ちなみに僕が卒業した感想としては、チーム開発がなかったらテックキャンプに行く意味がなかった、と思っています。
それだけテックキャンプの最終課題のチーム開発で得られる経験は貴重だし、自分の今後の人生に間違いなくプラスの影響を与えると思います。
テックキャンプについて悪い評判が目立ちますが、学習環境ではトップクラスのスクールなので、気になる人はより詳細に調べてみるのをおすすめします。